yuzaのブログ

出かけた場所について書いています。

日常生活5

広尾の山種美術館に行ってきました。実に七年ぶりの訪問です。当時は桜の絵に関する企画展をやっていて、奥村土牛の絵に惹かれて画集まで買ってしまいました。その本は今でもあって、まだ若かった当時を思い出すことがあります。

筆者自身は美術に詳しいわけではありませんが、現在付き合っている彼女とデートについて話し合った時、たまには都心へ出てみようという話になったのがきっかけでした。ハイソという言葉を遣ってみましたが、これは死語ではないかと何だかもやもやしたものを抱えながらの訪問でした。

彼女と付き合いだしてから行くことが多かった横浜と比べても、広尾は雰囲気からして違いました。高級住宅街なら山手とか根岸の辺りにもあるのですが、あそこよりも広いのです。そして押し込まれたような息苦しさを感じないのです。あと、どういうわけかジープのように軍用車めいた厳つい車が多く目につきました。

何よりも、地価の桁がおかしかったのを見て笑い合っておりました。本当に数億円の豪邸というのがあるのだと。賃料も一ヶ月五十万円台というのがあって、十万円台の賃料がかわいく見えました。

そんな閑静な住宅街に山種美術館はあります。上野の美術館に比べるとかなり小規模なのは、住宅街にあるという事情からかもしれません。おそらくあまり規模が大きくなると周辺から反対されるのでしょう。

今回は上村松園の企画展をやっていました。彼女の作品を中心に、片岡球子などの美人画を鑑賞することができ、それぞれの色の使い方や描き方についての違いを見比べる楽しさを感じました。

しかし何よりも、覚えておきたいのは上村松園が自著の中に残した言葉です。

『良い芸術は良い人間からしか生まれない』・・・思わず隣の彼女に対して、これを座右の銘にしたいと宣言したほどです。

楽器を弾く筆者としては、良い人間として生きるのにとても強い後押しに感じられます。美術に対する感性は鈍いままですが、この言葉に出会っただけでも良い一日だったと思うのです。